明治の抱き人形の修理


【修理内容】
明治の抱き人形は、まだ首のすわっていない赤ちゃんを対象に作られたお人形ですから、首をはじめとする各パーツが動くように作られています。
しかしこの人形は、首が動かないようにガムテープが貼られ、ガムテープをに剥がした時に出来た上塗り(肌色)とれて白くなってしまっていました。着物を着せずに裸で置いておいたのか、顔だけでなく体全体真っ黒で汚ており、泣き笛の入っている腰の部分は大きなひび割れができていました。
今回の修理は、全体の汚れ、首のガムテープ跡の修復、腰のひび割れを修理しました。


*あごの下のガムテープをはがした跡
*顔の汚れ
*腰のひび割れ
*胸の汚れ


修理前
あごの部分は上塗り胡粉(肌色)がはがれて白くなっているのがわかります。
腰は大きなひび割れがあり、形もゆがんでいます。
一度ひびが出来ると、どんどんと進行してしまいます。
体全体、埃で黒く汚れています。

修理中
日本人形は、上塗り胡粉・地塗り胡粉の上から補強出来ないので、面倒でも一度全て剥がして「原型」(この人形の場合は張子の紙)に補強をしていきます。
和紙で何回も貼っていき、良く乾かしてから形を整え、地塗り胡粉を幾重にも塗り、紙やすりで削って形を整えていきます。
きれいに磨き終わったら、オリジナルと同じ色の上塗り胡粉を作り、40〜50回塗り重ねて完成です

修理後

あごの下をオリジナルと同じ色の上塗り胡粉を作って塗り直してきれいになりました。
腰も修理前の大きなひびが治りました。ひび割れていたのがうそのようです!!!

顔のガムテープの跡もわからなくなり、汚れもきれいになりました。
修理の基本は、これから先、長くいきていけることと、如何に修理したことがわからないようにすることです。
この人形の場合、オリジナルの顔の部分は全くいじらず、ガムテープで剥がれてしまったあごの部分の塗りなおしでしたので、色の調整に時間がかかりました。


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